加藤ヒロ 公式サイト

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2019.03.17

こちら側とあちら側

南の海上を寒冷前線を伴う低気圧が通過した影響で、午後の遅い時間になってからの通り雨。

雨はすぐ止んだが、冷たく湿ったアスファルトから靴底から染み入る冷気に体は震え、まるで街全体が冷凍庫に包まれたかのように寒い。

僕は、乗ってきた地下鉄を表参道駅で降りて青山通りを外苑前に向かって舗道を歩いた。

途中、コーヒーショップで買った暖かいブレンドコーヒーも、5分も経たないうちに冷めてしまった。

人通りの多い舗道を歩き神宮前の駅を過ぎて、さらに進んでいくと神宮外苑のイチョウ並木が見えてくる。

この時期のイチョウ並木は、散り損ねた黄色い葉っぱを所どころ残したままで過ごした冬眠生活を終えようとしている頃か。

もうすぐ芽生える新芽は、その枝の節々で今か今かと本格的な春の到来を待ちわびていることであろう。

時刻はもうすぐ夕暮れ時。

左側の舗道から西方向に目をやると、ちょうど沈んでいく夕陽が舗道とテニスコートの間の垣根の隙間から綺麗なオレンジとなって目に入る。

ご存知の方も多いと思うが、このイチョウ並木通りは、片側2車線の比較的幅員が広い道路のため、両側の路肩にはいつも沢山の車が路上駐車している。

多いのはタクシー。

運転手さんの格好の休憩場所になっているようだ。

僕もその昔、仕事で忙しい毎日を送っていた頃、クライアントとの会議の後でここに自分の車を停めて、会議中に溜まったメールの処理、送られてきた資料のレビュー、秘書へのアポ取り依頼、そして複数のクライアントから会議中にかかってきた電話へのコールバック、、、などなど、平気で何時間も過ごすこともあったっけ。

さながら、僕の車は動く事務所だった。

そうそう、昔の僕はタバコを吸っていたから、ここに車を停めて外に出てイチョウ並木を見上げながら、よく一服してたな。

今じゃ路上喫煙で怒られるんだろうけど。

そのイチョウ並木通りの真ん中を過ぎたあたりで立ち止まり、反対側の舗道のベンチを眺める。

そういえば、僕の「Fighting on the Edge」という曲のミュージックビデオをここで撮影したなあ。

もう9月だというのに、真夏のように暑い1日だった。

まだあれから1年半しか経っていないけど、感覚的にはもう4〜5年くらい前のことのように感じるのは僕だけだろうか。

ビジネスマンとしての僕。。そして、ミュージシャンとしての僕。。

イチョウ並木のこちら側と向こう側に、異なる”僕”がいる。。

この場所で二つの異なる”僕”が、時間を超えてあたかもそこに同時に存在しているかのような映像を想像してみた。

こちら側には、スーツを着てタバコの灰をアスファルトに落としながら、難しい顔をして携帯電話で忙しそうに話す僕。

向こう側には、PV撮影用に黒いギターケースを片手に歩く僕。

どちらも本当の僕だけど、、いずれも過去の僕だ。

お互いの存在を認識したところで、それが自分であることに気づかないのではないかと思う。

そして、、今の僕が、またこちら側の舗道にいる。

街は、そんな時空間を超えて、何気ない一人の人間ドラマの舞台になっているんだと感じる。

街は、、少しずつ変わっていく。。

でも、変わっていく速さは、人間の方が圧倒的に早いように思う。

年を重ね、知らず識らずのうちに老いは進行し、その容姿も考え方も、そして生き様さえも変わっていくものだ。

この日は、神宮の野球グランドで、長年うちの会社で野球部の監督を務められた方の送別練習会をやるということで、僕も顔を出すことに。。

昔ならアンダーシャツとスライディングパンツの上にユニフォームを着こんで、野球用のスパイクを履き、大声を出してボールを追いかけるところ。。

でも、もう野球のボールなんて何年も握っていない。

それに、老眼が進行中で乱視が強めの僕にとってみれば、夕暮れ時の野球のボールは凶器にもなり得る危険な存在だ。。

だから練習には参加せず、革ジャンを着たままポケットに手を突っ込んでベンチでみんなの練習を見守る。

ここでポケットに手を突っ込んでいても、きっと炎上しないよね、、と思いながら。

それにしても、みんな若いなあ。。

おそらく誰もが年を取ってやらなくなった事ランキングの中に、”全力疾走”というのが上位に入るのではないかと思うが、、、僕も全力疾走やってないなあ。。全力疾走。

まず、足がもつれてコケるのが目に見えている。

下手するとアキレス腱だって切りかねない。。

ああ、やめておいた方がいい。

年と共に考え方は保守的になっていく、、というか、リスクマネジメント力が向上すると言った方が正しいかも。

野球の練習の後、みんなで飲み会へ。

うちの会社の野球部はOBもOGも野球しない人も参加OKだから、飲み会にはうちの会社を辞めていった人が沢山参加していた。

なんか同窓会みたい。

懐かしい顔ぶれで話は盛り上がり、それぞれそれなりに年を取り合った仲間同士で酔っ払い、そしてカラオケに突入、、ついに帰宅時間は午前様に。。

そして今日。。

はい、二日酔いでブログを書いております。。
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