加藤ヒロ 公式サイト

BLOG

2021.07.13

転換点

いつの日か巷で有名な占い師の方に占ってもらう機会があるとするならば、推し量ったかのようにこう言われるかもしれない。

「え〜と、2021年の春から7月頃にかけてですかね。大きな転換、新しいスタート、というのが出ていますね?この時期、何かありましたか?」

まだ人生52年とちょっと過ぎたあたりだけど、この7月は自分でもそうだと認識できるくらい、新しいスタートを迎えることとなった。

会社は3月に辞めたが、契約上の関係が完全に消滅したのは6月末。

つまり、7月1日からは本当の意味でフリーになったわけだ。

去年の暮れ辺りから、検討しては諸般の事情によりリリースの延期を繰り返したニューアルバムは、先日7月7日に無事にリリース日を迎えた。

春先から準備を進めてきた新しい活動のプラットフォームとなる株式会社チェリーズガーデンのHPも7月1日におかげさまでで無事公開となった。

春先に取材を受けた経済誌のインタビュー記事が7月5日に公開され、奇しくも同日にニューアルバムのインタビュー記事が音楽ナタリーに掲載、配信された。

もちろん、このタイミングに合わせて色々と準備を進めてきたのだから当然といえば当然、それだけと言えばそれだけのことだけど。。

もっと言えば、僕自身引っ越しもしてないし、車も変えていない。

体重こそ少し増えたけど、髪型も身長も、女性と食事の好みだって以前と変わらない。

いくら心機一転といったところで、自分自身が何かガラッと変わってしまった訳ではないのだ。

それでも、メガネを新しく買い替え、財布も春先に買っておいた新しい鹿の皮製のものに切り変えた。

うまく言えないけど、自分が変わったというよりも、、自分がもっと変わっていってもいい環境になった、、という感覚の方が近い。

地位とか役職だとか、立場を考えて人目を気にするとか、くだらないプライドに拘るとか、必要以上の雁字搦めのコンプライアンスに縛られるとか、合理性とか損得勘定だとか、そんなことを気にしなくて生きていいんだ、という環境の変化。

これからは、音楽人、自然人、職業人という3本の柱で活動していくことを誓ったばかりだけど、その前提として僕は自由人として生きていいんだ、ということに気づいたということ。

もっと、自由に発言してもいいだろうし、楽しいときは今まで以上に笑ってもいい。

嬉しいときはバンザイして喜んでもいいだろうし、場合によっては多少の馬鹿をやったって許されるかも知れない。

もちろん、人様に迷惑をかけるのはNGだけど。

その延長線上で、今まで一緒に働いていた人たちとも、昔の立場を超えて一人の人間として向き合い、人間味あふれる付き合い方が出来ればいいな、と思う今日この頃。

そんな、、7月に入って2週間が過ぎて、ふと気づいたこと。

こんなことをブログに、、書いていいんだ、という事も。

新しい自分になって、新しい旅を、始めるとするか。。


2021.04.28

がんねムーンビーチ

広島の繁華街、薬研堀の小さなビルにあるスナック。

その店のママは僕の中学時代の同級生だ。

広島を訪れた際、食事の後にちょこっとだけ顔を出す。

もう3年くらい前のこと。たまたま、そのお店に居合わせた江田島市役所の人と話が弾んだ。

「江田島にもっと沢山の人に来てもらいたいんだけど、予算もなくて大変だよ。」

と、その人は話し始めた。

「がんねビーチという砂浜があるんだ。そこを復活させるプロジェクトが立ち上がるかもしれない。」

その人が言った「がんねビーチ」という響きが妙に耳に残った。

調べると、最北端の沖美町の岸根鼻の付け根あたりにあった海水浴場だったらしい。

はるか昔に「がんねムーンビーチ」という名で賑わった風光明媚なビーチだそうだ。

その名前を聞いて、僕はサンフランシスコ郊外にあるハーフムーンベイを思い浮かべた。

海を見下ろす高台に超高級ホテルが建ち、その周りを緑鮮やかな芝と白い砂のバンカーのコントラストが美しいゴルフ場、そして高級別荘が立ち並ぶリゾートだ。

もうずいぶん前だけど、サンフランシスコに出張した週末に一度だけ行った事があって、とても印象に残っている。

まさか江田島にそんな高級リゾートができるなんで想像もつかない。

がんねビーチの復活とは、一体どういう事なんだろう。

僕は、どうしてもがんねビーチをこの目で確かめたくなって、ホテルを飛び出し車を走らせた。

高速道路を経由して、呉に入る。

まだ、あどけなさが残る制服を着た水兵達が歩く街中を抜けると、海には軍艦のような大きな船や、黒い鉄の塊のような潜水艦が数隻浮いているのが見える。

まるで映画で見た世界だ。

倉橋島を走り、早瀬大橋を渡り能美島に上陸。海沿いの道をひたすら進んでいく。

ホテルを出て1時間半が経過した頃、ようやくがんねビーチの近くまでたどり着いた。

ところが、がんねビーチへと続くはずの狭い山道は、途中工事中になっている模様で立入禁止の看板が出てきた。

一体、具体的にどこががんねビーチなのかが、よそ者の僕の目ではよく分からない。

恐らく、突き出た小さな半島に所々見える砂浜が、かつてのがんねムーンビーチと呼ばれている場所だったのだろう。

もちろん海水浴シーズンでもないから人影は見えないのだが、夏になってもそこが賑わうような雰囲気は全く感じられない。

今はもう閉ざされた遊園地のようだ。

その近くに小さな山がある。

日露戦争開戦間近の明治時代、バリチック艦隊の入港を阻止する為に、榴弾砲などが設置された三高山だ。今では、砲台山と呼ぶらしい。

戦争が終わり、高度成長を迎えた昭和の時代。海水浴は、人々にとって最大の夏の娯楽の一つだったに違いない。

家族連れで訪れた子供達の笑い声、付き合い始めたばかりの若い恋人達、孫を見つめる祖父母の微笑ましい笑顔。。。

僕は、朽ち果てた榴弾砲の眼下に広がる美しい砂浜と、その揺れる陽炎の向こうに夏のバカンスを過ごす人々の様々な表情を思い浮かべてみた。

青い空とエメラルドグリーンの海、カラフルなパラソルに流行りの色取り取りの水着姿。

僕の脳裏で、それらの風景がやがてモノクロの景色へと変わっていく。

想像していたハーフムーンベイとは雰囲気が違うけども、海の美しさはそれに引けを取ることはない。

むしろ、この海の方が美しいと思った。

今ではきっと、誰も訪れなくなったがんねムーンビーチも、人びとがバカンスを過ごした時代よりももっともっと昔にあった美しい姿を取り戻しているのだろう。

いつの日か、がんねビーチが復活する日がきた時に、また訪れてみたい。

因みに写真は、がんねビーチの近くにある砂浜。そこで釣りを終えて帰ろうとしていた家族連れに聞いてみた。

「がんねビーチは、どこにあるんですか?」

「がんねビーチ??・・さあ、、、聞いたこともないっすね。」

復活への道のりは長そうだ。
2021.04.19

消えたイエローチャリマシン

待ちに待った映画撮影の日。

その日は朝から晴れ渡り、初夏を思わせるような青空が広がっていた。

11時半前に現地にて集合!との指示を受ける。

絶好のサイクリング日和の空。

目的地までもそう遠くもないし、僕はイエローの愛車「イエローサブマリン」ならぬ「イエローチャリマシン号」に跨がり颯爽とペダルを踏みこんだ。

自転車に乗っているとナビがついているわけじゃないから、初めて走る住宅街のクネクネ道を進んでも思っていた大通りに中々出ない。

見上げても目印になりそうな高い建物も見えてこない。

「おかしいな。。」と一旦停まってスマホで現在地をチェック。

ゲっ!東に向かっているつもりが、いつの間にか北に向かっていた。

そんなこんなで、思ったより時間がかかり11時半ギリギリに到着〜!

「ヒロさん、おはようございます!」

「ヒロさん、お久しぶりっす!」

僕を見つけた、いつもの仲間が出迎えてくれる。

「ヒロさん、今日は自転車なんですね!こっちに停めてください!」

撮影現場の建物の脇にある歴とした駐輪スペースに、イエローチャリマシン号を停めて鍵をかけ、急いで中に入る。

撮影は順調に進み、その日の予定は無事に終了。

それが大体15時ごろ。

プロデューサーの安藤さんと近場のカフェで打ち合わせをするために移動することに。

そこで、僕の買ったばかりのイエローチャリマシン号を安藤さんにも見せようと自転車置き場へ。。

ところが。。

「あれ?ない。。ここに停めておいたはずなのに。。」

まるで狐に摘まれたみたい。。

人間は、想定していない事実を突き付けられた瞬間、本能的に「そんなはずはない」と否定心が先に立ち、現実を受け入れるのに時間がかかる。

「ない。。。。もしかして、、盗まれた??」

まだ2月に買ったばかりだから、2ヶ月も経っていないのに😢😢😢

自転車移動で、ガソリン代は浮くわ、駐車場代は浮くわ、駐輪場から歩くから健康にはいいわ、何よりも走っていて気持ちいいわ、、と良いこと尽くしのはずだったのに。。

盗難届を出しても、きっと見つからないだろうな。

保険で買い直せると聞いてたけど、うっかりして利用者登録するの忘れてたし、、バッテリーの製造番号も現物がないから分からないし、仮に保険で買い直せたとしても定価の30%を払わらないといけないし。。

自転車は乗るな、ということか?

盗難届を受理してくれた交番にて。

年配の交番相談員のおじさん。

自転車を買ったお店でもらってきた車体番号とか盗難登録番号とか買いてある売上伝票のコピーをそのまま見せる。

「え〜と、、車体番号が●●で、防犯登録番号が●●、それで、、買った値段が●万●千円と。。」

「いや、●●万●千円です。」

「えーっ⁉︎・・●●万●千円⁉︎」と、見事なリアクション!

「電動アシスト付の自転車ですから。」

車から自転車に変えて目論んでいた経費削減作戦は、どうやら失敗に終わりそう。。

むしろ高くついたわ!

それにしても、世の中・・悪い人がおるもんじゃね。
2021.03.31

ええ子やわ〜

篭り場からの帰り道。

阪神戦の試合開始に間に合うように家に帰りたいところだが、どうせ意気込んでテレビの前に陣取るとロクな結果にならない。

別に自分にそんな大そうなパワーが備わっているとは思えないが、「見ると負ける」と感じている人は世の中には少なくないようだ。

そんなプロ野球も開幕し、春の暖かさを感じるようになって、ようやく電動アシスト付自転車に乗る機会が増えてきた。

2月に購入した自転車のバッテリーが間も無く30%を切る。

そろそろ記念すべき第1回目の充電の時期だ。

所詮、自宅と篭り場の往復でしか乗らないから大した距離ではないのだが、想像していたよりもバッテリーの持ちはいい。

いつも篭り場まで少し距離のある有料駐輪場に自転車を停めて20分以上歩く。

歩数も格段に増えるから健康にもいい。

しかも、駐輪代は1日100円で済む。

自転車での移動が増えると車で移動する時と比べてコインパーキング代が浮くから、これで益々会社の経費削減が促進される。

いいことだらけだ。

そんな感じで、自転車を停めている駐輪場まであと少しでのこと。

踏切の手前30メートルの距離に信号のない横断歩道がある。

降りていた遮断機は上がり、車の往来が再開される。

僕がゆっくりその横断歩道に近づくと、、小学生だろうか、リュックを背負った一人の男の子が“気をつけ”の姿勢のまま、車が途切れるのを待っていた。

通りかかった一台のワゴン車が少年の姿に気づいて少年を渡らせる。

それを見た少年は、気をつけの姿勢からほぼ直角に深々とお辞儀をして、横断歩道を渡り始める。

そこへ反対車線には一台の乗用車が近づく。

少年は一瞬だじろぎ、歩みを停めるが、反対車線の乗用車は急いでブレーキをかけ、少年を渡らせる。

その時、少年はその乗用車にもほぼ直角に深々とお辞儀をして、小走りに横断歩道を渡りきった。

なんて礼儀正しい少年なんだ。

「ええ子やわ〜。」

と心の中で叫ぶ。

許されるなら、駆け寄って頭をなでなでしたいくらい。

きっと親御さんの教育がしっかりしてるんだろうな。

それか、スポーツ少年ぽいから、優れた指導者に恵まれているのか。

「ええ子やわ〜。」

と心で叫ぶながら、その少年の3メートル後ろから、僕もそそくさとその横断歩道を渡る。

ワゴン車は行ってしまったが、反対車線の乗用車は僕が横断するのも待ってくれていた。

そこで僕はほぼ直角に深々とお辞儀をしてら、、何の宗教??ってことにならないか。。。

なので、ちょこっと顎突き出して会釈だけしといたわ。

大人って、、、ダメやね。。。
2021.03.21

Ride on Time!

ほんの3日前には、その気配を感じとれなかった桜の枝に、チラホラとピンクの花が咲いている。

個体差があって、早くも満開に近い桜の木も所々で目にすることができる。

せっかく咲いたサクラの花が、今日の春に嵐で散ってしまわないかと心配したが、咲いたばかりのサクラの花は生命力が強いのか、簡単には散らなかったみたいだ。

いよいよ、春本番間近。

去年の今頃の話をすると、必ず新型コロナの話題に。

日本で新型コロナがまだ本格的に広まる前の話になると、ダイアモンド・プリンセス号のことを皆んな言いたいらしいのだが、客船の名前がすぐに出てこないのか。。

「ほら、あの〜、クイーンなんとか号・・」っていう人が多い。

クイーンなんて欠片も入ってないのにね。


さて、加藤ヒロの3枚目のフルアルバム「雨上がりの朝に」のリリース時期がちょうど夏が来る前くらいになりそうだ。

先日、無事にマスタリングも終了。

それにしても、そんなお方にマスタリングをお願いできるのか、というくらい大御所の方にご担当いただく。

写真は、マスタリングスタジオでの一コマ。

「この椅子にあの人もよく座って、スイッチをいじってるよ。」と言われ、僕も同じ椅子に座ってご満悦の表情。

あの人とは、、僕が尊敬するあの大御所のアーティストのお方。

後ろでサウンドディレクターのKOSENさんが、、これは、、寛いでるのか、、それとも、ダベッてるのか??

そろそろ、アルバムのジャケットデザインの作業にも着手。

素敵なデザインになりそう。

桜ももうすぐ満開だし、僕も会社を3月末で辞めていよいよ自由の身に。

色々とやりたいことをやっていこう。

サクラの花が然るべき時に咲くように、僕も時の流れに乗って行かなきゃ。

そう、時に乗れ!ですよ。

まさに、、Ride on Timeですよ!

頑張って行きましょう!



2021.03.06

レキシントンの幽霊と座敷童

村上春樹の「レキシントンの幽霊」という短編小説を読んだ。

ネタバレになるので詳細は書かないが、ストーリーとしては題名にある通り、彼がマサシューセッツ州ケンブリッジ郊外にある友人宅で過ごした一夜の出来事について綴った物語だ。

その小説を読み終えて数週間がたった頃の話。

その日、疲れていた僕はいつもより早く床に就いた。

僕の寝床は一階にある。

布団に潜り込み(僕はベッドよりも、昔ながらの布団で寝る方が好きだから布団で寝ている)、そっと目を閉じる。

いつもなら直ぐに訪れる眠りが、その日は中々訪れない。。

何度か寝返りをうつ。。

だめだ、、眠れない。

僕は35歳を境に、布団に入ってからすぐに寝ることが誰よりも得意になったはずなのに。

しばらくして、眠れない理由に気付く。

二階から聞こえてくる物音がうるさいのだ。

いや、その物音が物理的な騒音のように聞こえる訳ではない。

もっと言えば、その物音自体が、本当に二階から聞こえているかの確信さえも持てない。

でも、確かに誰かが二階で、、そう、、まるで子供がはしゃいでステップを踏んているような、そんな足音がずっと鳴っているのだ。

寝床で30分くらい経った頃、我慢できなくなり僕は二階へと様子を見に行った。

ところが、そこには誰もいない。

当たり前だ。

「うるさいんだけど!」

一言だけ言い残し、また一階に降りて布団に潜り込んだ。

不思議なことに、二階から聞こえていた足音はピタリと止んだ。

それから、間も無くして僕は深い眠りに落ちた。

一体、あの物音は何だったのか。。

春が近づく満月の夜に、たまたま僕の家の二階で誰かが宴でも開いていたというのか。

それとも、本当に座敷童でも現れたのか。。

不思議な夜の話。

幽霊なのか座敷童なのか分からないけど、不思議な夜はレキシントンだけではないようだ。


2021.02.23

黄色い自転車に乗って

自転車を買った。

黄色い電動アシスト付きの自転車だ。

たまたま誕生日が近い日に注文したから、自分への誕生日プレゼントとすることにした。

車では走らないような狭く入り組んだ道路や、散歩するには遠すぎて歩くことのなかった住宅街。

自転車ならそんな見たことのない街の景色を楽しみながら走ることができる。

よく晴れた空の下、ゆっくりとのんびりと自転車を走らせる。

知らない住宅街の庭先には、色んな種類の木々が植えてある。

ここ数日続いた陽気のせいか、所々で気の早い桜の木が鮮やかな淡いピンク色の花を咲かせている。

こっちの家には、ブンタンみたいな大きな黄色い柑橘系の実が、今にも落ちそうなくらい沢山ぶら下がっている。

突然、鳥たちが木々の葉を揺らしながらその甲高い鳴き声を響かせた。

それを合図に、僕はペダルを踏み込んだ。

電動アシスト機能がそのペダルの背中を押して、自転車は宙に浮くような推進力を得て加速する。

まだ冷たい風が頬に当たる。

重いギアにチェンジして、さらにペダルを踏み込む。

スピードは更に加速して時速20Kmを超える。

メガネ越しの冷たい風圧が、僕の目を涙ぐませる。

まだ冬の匂いが残る風だけど、春の気配を確実に感じ取るることが出来る。

そう、もうすぐ冬が終わり、春がやってくる。

終わりゆく季節に手を振り、別れを告げる日がやってくる。

それはきっと僕にとっても、何かが終わり、何かが始まる合図になるのだろう。

新しい季節はいつでも、僕たちに希望の光をもたらしてくれるはずだ。

さて、春になったら、、黄色い自転車に乗ってもっと遠くの街へと出かけてみるとするか。
^
TOP