加藤ヒロ 公式サイト

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2018.09.10

ありがとう。。ハナ。

小学生3年生の秋に、僕は岡山から広島の田舎町に引っ越してきた。

その田舎町に住む近所の家で絵画教室をやっていたので、幼い頃から絵を描くのが好きだった僕は、その絵画教室に通うことにした。

近所の同じ年くらいの子供達がその絵画教室に通っていたから、その絵画教室を通じて僕はたくさんの友達を作ることができた。

絵画教室で過ごす時間は、とても楽しい時間だった。

絵画教室では、生まれて初めて油絵を描かせてもらったり、年賀状用にゴム版画を作ったり、週末には皆んなで揃って写生大会に出かけたり、自然に触れ合いながら絵を描くことの楽しさを教えてくれた。


とある写生大会に出展するための作品について、題材を何にしようと迷っていた時のこと。

僕は近場にあった安佐動物公園という動物園で撮ってきた写真をみながら、ある一枚の絵を描いた。

もしかしたら、その動物園での動物を描くというのがお題としてあったのかも知れない。。

でも、写生のため動物園を訪れた時に、時間内にうまく絵を描けなかったのか、、、改めて自宅に帰ってからその写真をもとに水彩画を描いたような。。

その写真には、大きなカバが横向きに写っていた。。。

2頭重なっているかのような構図だった。。

記憶というものは、曖昧なものだ。。

カバ以外には何も覚えていない。。

とにかく、僕はそのカバを水彩画として画用紙に描いた。

胴体を覆う鎧の色、くちばしの先から突き出た角の色、、、写真の中に写る、、まだ比較的若く見えたそのカバが持ち合わせる独特の色合いを表現するのに、とても苦労した記憶だけは残っている。


審査発表の日の朝、地元の中国新聞には、僕の名前と共にその作品が「金賞」という栄誉ある賞を受賞したと報じていた。

とても大きな楯だかトロフィーだかを教室の皆んなの前で先生から頂いたのを覚えている。


今日、ネットをみていて、ふと隅っこに掲載された小さな記事を見つけた。

いつもは絶対に見ることのないようなくらい、隅っこの隅っこに掲載されたニュースだ。。

そのニュースの見出しは「ありがとう・・ハナ。広島・安佐動物公園」。

ご長寿世界一だったクロサイのハナが死んだというのだ。。

その記事によると、ハナは推定年齢52歳のメス。

1971年7月に、オスのクロと一緒にケニアからやってきて、1977年から18年間で10頭の子供を産んだとのこと。

僕が、安佐動物公園で撮った写真のサイを水彩画に描いたのが、、確か1979年。

僕が描いたそのサイがハナだったのかどうか、僕にはわからない。。

どうであれ、ハナは長い間動物園を訪れる僕たち少年少女に夢を与えてくれ続けた。。

きっとハナも、天国で先に逝ったクロと仲良く喧嘩でもしながら僕たちを見下ろしているのかも。


ハナ、、どうぞ安らかに。。


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