加藤ヒロ 公式サイト

BLOG

2019.05.21

雨と記憶。。

5月の下旬と言えば、、、一年の中でも最も気持ちのいい時期なのに。。

この季節の突然の南からの湿った空気に、空気清浄機の機能は「加湿」から「除湿」に変わり、蕎麦屋のメニューは「牡蠣カレー蕎麦」から「梅冷汁蕎麦」へと変わり、そして、人の気持ちさえも「快適」から「憂鬱」に変えた。

今日の東京は、朝から横殴りの雨。

もう梅雨を思わせるくらいに不快指数は上がる。

こんな日は、、外に出たくない。ああ、嫌だ。。

でも、、行かねば。。。

意を決して外に出る。

表通り。。人々は強風で裏返ってしまった傘を手に、僅かな希望を求めてタクシーを待ち続けていた。

でも、その希望はおそらく当面は叶うことはないであろう。。と思うくらい、みんな一斉にタクシーの姿を見かけると手を挙げていた。

そんな人々を横目に、僕は少しでも足が濡れることがないように、出来るだけ脇目も振らず足早に地下鉄の駅まで歩く。

裏通りに入ると、人々はもうこれ以上濡れようがどうなろうがお構い無しの諦めモードのように、雨の中をゆっくりと歩いている。

そんな人々を、僕は水たまりをスキップしながら追い越していく。

雨と言えば、高校時代、梅雨の季節にはいつも雨合羽を着て、自転車で50分かけて通学していた。

そんな日々を思い出す。

濡れないように、教科書が入ったカバンは大きな青いビニール袋に包んで前かごに入れた。

でも、ビニールの包み方が甘いから、カバンはビニールの隙間に溜まった雨水でびしょびしょに濡れ、カバンの中の教科書はふやけるように濡れた。

濡れた箇所は、数十ページ分が、もう二度と離れることが出来ない恋人のように、お互いに貼り付き合って固まっていた。

結局、ほとんどの教科書が、程度の差こそあれ雨に濡れて原型を留めていなかったように思う。

靴もいつもびしょ濡れで、教室に入るや否や僕は靴下を脱いて乾かした。

その間、いつも裸足で靴を履いていた。

それでも、風邪を引くことはなかった。

夕方になる頃、乾ききることのない靴下を履いた。

履いた瞬間「冷たい!」と思うが、、5秒もすればどうってことなくなった。

そして、また雨の中自転車で50分かけて自宅へと帰った。

当時は、雨に濡れることは今ほどは嫌ではなかった。。。

いつからだろう。。

雨に濡れることが、人一倍嫌いになったのは。。。

小さな子供が歌を歌いながら水たまりを長靴で歩いていた。

こんな風にびしょ濡れになってもお構いなしなくらいに、無邪気に歩けた頃にはもう戻れないのかな。

そんなことを考えている間に、無事に地下鉄の駅に到着。

雨の日の地下鉄のホームは、いつも以上に地下鉄の匂いがした。

幼少時代に、神戸電鉄の新開地という駅で嗅いだことのある電車の匂いに似ていた。

雨は、いろんな記憶を呼び覚ます力があるようだ。。

そして、午後3時を回った頃、雨は上がり風も止んだ。

そんな火曜日。。

来月にはいよいよ本格的な梅雨が、、やってくる。。。

色々と記憶を呼び戻せる日々が来ると思えば、、、少しは楽しみが増えるかな。
^
TOP