サウナトランス
体の免疫力が落ちている時に、過密スケジュールで蓄積した疲労が一線を越えたり、体が冷えたり、胃腸に過度の負担がかかったりすると体調を崩してしまいがち。
その初期的な症状として、僕の場合は喉に軽い炎症を覚えることが多い。
体の弱い所にそういう初期症状が現れるとすれば、僕は人一倍喉に気を遣わなければならないのに、今まではそんなこと全然気にしてこなかった。
若い頃はまだよかったけど、さすがに年を重ねてくると回復力は少しずつ下がってくるから、体調を崩しそうになってもどうにか一線を越えないように体を労らないといけないという自覚が芽生えたのはいいこと。
僕の場合は一線を越えると喉の痛みが強くなり、やがて鼻の奥がただれた感じになって風邪の症状が悪化する。
こうなると、少なくとも1週間はまともに歌が歌えなくなる。
特にライブを数日後に控えている場合は、それだけは避けなければならない。
それなのに、ライブのために練習しすぎて疲労を溜め込んでしまうことで体調を崩してしまう、という苦い経験を何度か味わったこともある。
そういえば、テレビでプロのオペラ歌手が、どうやっても年に数回は風邪を引いてしまうので、「ステージの日程を考えると風邪を引くなら今のうち」とばかりに意図的に風邪を引いて寝込む、なんてことを言っていた。
まあ、絶対に風邪を引けない日程が予め分かっていると、そういう気持ちになるのも分からなくもない。
さて、去る7月のこと。
原宿クロコダイルでのライブの3日前に風邪を引いてしまった僕は、ライブの前日に行きつけの耳鼻咽喉科に駆け込んで「何とかしてください」とお願いして薬を処方してもらった。
こういう場合に処方される薬は、結構きつい薬の場合が多いから出来るだけ飲みたくはないけどしょうがない。
幸い熱も出なかったし、薬で少しは症状も改善したので大丈夫かなと思ってライブ当日にリハに行ってみたものの、歌えばすぐに脂汗は出るし、声は所々ひっくり返るような始末。
周りの人も「大丈夫か?」と心配してくれて。
そこでリハを終えた僕は、迷わずサウナへ。
そう、以前にも似たような状況に陥った時に、僕はサウナに行って著しい回復を実感したことがあったのだ。
元々サウナはどちらかと言うと苦手な方だった。
とにかく暑いし、苦しいし。。。
なんで好んでそんな苦しい思いをしなければならないのか、、と。
ましてや水風呂なんて猫が水を嫌がるくらいの勢いで毛嫌いしていた。
とある日、サウナの達人ともいうべき人が、「サウナは水風呂に入るためにある」という話をしていたのを聞いた。
それから考え方が変わって、水風呂に入るのが好きになってしまった。
その日も、限られた時間の中で、サウナに2回、水風呂に2回。
サウナで「ととのう」という意味がなかなか分からなかったけど、その時に実感。
意識はとてもすっきりしていて、体のどこにも力みはなく、とってもリラックスした状態。。
そう、軽く上を向けば自然と「ふう〜」と小さなため息が出る感覚。。
医学的にも安心感や幸福感をもたらすと言われるβエンドルフィンという神経伝達物質が分泌されている状態なんだとか。
おかげでその日は、サウナの後にしっかり発声練習をしたこともあり、本番で無事に歌うことが出来て事なきを得た。
それ以来、温泉宿に行ったり、少し時間があったり、疲れがちょっと溜まってきたり、喉に軽い炎症を覚えた時には、迷わずサウナに駆け込んでいる。
もうサウナトランス状態にヤミつきになってしまった感じ。
そんなわけで、昨日もまた、はい。。ととのえてまいりました!