加藤ヒロ 公式サイト

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2019.10.22

ジョアン・ジルベルトのように

ラジオ番組のマンスリーソング企画で、この夏に書き下ろした「夏色のウソ」という楽曲。

制作テーマが「アヴァンチュール」という大人の雰囲気漂うテーマであったため、僕にとっては初めてのコード進行で、さらに何を思ったかボサノヴァ風の曲に仕上げてしまった。

まさにボサノヴァ風にしたのが原因なのかもしれないけど、曲としては歌もギターも難易度が高い曲になってしまった。

そう易々と雰囲気を出してギターを奏でることも、歌うことも出来ない曲だ。

プロデューサーの安藤さんは、この曲を「ジョアン・ジルベルトみたいに歌うように。」と言っていたけど、どう転んでもジョアン・ジルベルトのように歌うことなど出来るわけがない。

ジョアン・ジルベルトが無理と分かるや否や、今度は「じゃあ、アストラッド・ジルベルトのように歌ってみて。」と言ってきた。

アストラッド・ジルベルトは、ジョアン・ジルベルトの奥さんだ。

女性のボサノヴァ歌手のように歌うのはジョアン以上に至難の業だ。

もう気持ちから何からボサノヴァの雰囲気に浸るしかないと、You Tubeでボサノヴァの曲を洗いざらい聴いてみる。

それでも、中々雰囲気を掴むことができない。

こうなったらトコトンやってやろうと、いつも使っているアコースティックギターを置いて、まさにボサノヴァにぴったりのガット弦ギターでチャレンジ。

思い切ってクラシックギターを購入。

以前からいつか欲しいと思ってたし、遅かれ早かれと思うし。。。

僕はフラメンコタイプではなくて、主に指弾きに適したタイプのギターの中から、ホアン・ヘルナンデスというスペインのギターをチョイス。

弾いてみると、やっぱりガット弦のギターは全然違う音色だ。とてもいい。「夏色のウソ」にもピッタリだ。

クラシックギターを手に取ってみて、思い出したことがある。

僕がビートルズに憧れて、野球部の活動が終息を迎えた中学3年生の秋頃に「ギターを始めたい」と言い出したことがある。

その時は、学校の先生からも「もうすぐ受験なんだから」と言われてあまり賛成してくれなかった。

でも、近所の方が僕がギターをやりたいと言っていることを聞きつけてか、「とても古いけど使っていないギターがあるから」と中古のギターを僕にくれた。

ギターなんて触ったことなかったし、それがどういう種類のギターなのかさえ分からなかったけど、今思い返せば、あのギターは紛れもないガット弦のクラシックギターだった。

クラシックギターは、アコースティックギターのようにピックを使ってジャカジャカとストロークするようなギターでもないので、そのギターで指弾きで遊んでいたのを覚えている。

かなり使い込んでいたし、ネックも反って弦高がとても高くなってしまっていて、また弦が切れても自分で交換するノウハウもなかったので、せっかく頂いたのに使わなくなって、、、あのギターは結局どこに行ったんだろう。。。と。

その2年半後の高校3年生の春に、僕は野球をやめてから始めた新聞配達のアルバイトで貯めたお金で、憧れのアコースティックギターを買った。

結局、そのアコギも1年後には押入れの中に仕舞い込まれたまま、何十年も日の目を見ることなく眠り続けることになるのだが。。

そんなガット弦ギターに纏わる遠い記憶に浸りながら、この日僕は「夏色のウソ」のレコーディングへ。

果たして、うまく行くのでしょうか。。。

ジョアン・アルベルト。。。。今年の夏、ボサノヴァの神と呼ばれたジョアンは天国へと旅立った。

ボサノヴァなんて縁がなくて僕は知らなかったけど、そんな巨匠が亡くなった夏に何故か作ってしまったボサノヴァ風の曲。

思い出に残る曲にしたい。
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