加藤ヒロ 公式サイト

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2019.11.10

バットは振ってナンボのもの

関西地区での母校である広島商業高校の同窓会である二金会にお邪魔した。

知らなかったけど第1回二金会は昭和10年に大丸の食堂で行われたと、出席されていた最年長の92歳の大先輩が言われていた。

どうりで、今回の二金会が760回という途轍もない回数になるわけだ。

今回、メインでお話頂いたのが、今年の夏の甲子園の決勝戦で主審を務められた同窓生の宅間寛さん。

僕よりも5学年上で、ご自身も甲子園に捕手として出場した経験がある。

同じ高校に入学するとも思っていなかった僕が中学一年の夏、その年の県予選と甲子園で広島商業のキャッチャーが宅間さんだということを何故だか覚えていて、その時から僕の中ではキャッチャー=宅間という構図が成り立っている。

だから僕がテレビゲームで作る自分のチームのキャッチャーの名前は必ず宅間という名前をつけたくらい。。まあ、どうでもいいか。。。

なぜそんなに宅間さんの事を覚えているかと言うと正直自分でもよくわからないのだけど、恐らく当時僕が憧れていた、早稲田実業で荒木大輔さんと一緒に甲子園5期連続出場を果たした小沢章一さんが初めて甲子園に出た時のことを後から色んな雑誌等で振り返った時に、その時の広島代表だった広島商業のメンバーの名前を目にして覚えていたんだろうと思う。


さて、宅間さんは高校卒業後に立命館大学に進まれ間も無く正捕手の座を掴んだ。

その頃、僕は毎朝、中国新聞のスポーツ欄を絨毯の床に広げて、関西学生野球の試合結果に記載されるバッテリーの名前の箇所に宅間さんの名前があることをいつも確認していた。

ある時からバッテリーの捕手の名前に、宅間さんの名前の下に古田という名前を見かけるようになった。

スタメンが宅間さんで、試合の途中から古田というキャッチャーに交代したという意味だ。

しばらくは、宅間・古田という名前が併記された時期が続いたが、ある時から古田・宅間と順番が入れ替わったり、古田だけの名前が記載されたりするようになった。

その古田は、誰もが知る名捕手、元ヤクルトスワローズの古田敦也さんだ。

古田さんは宅間さんの2学年下。

その頃の話を宅間さんに直接聞いてみた。

古田さんは学生の頃はまだ身体も出来上がっておらず、特にバッティングではまだひ弱でパワー不足。外野に飛ばすのがやっとだったそう。

だから、攻撃力が重視されるスターティングメンバーには宅間さんがマスクを被り、守備のいい古田さんが試合後半に出場するパターンが多かったのだとか。

その時でも、宅間さんはライトを守って試合には出続けていたそうで。

ある時、宅間さんが怪我で試合に出れなくなった時を境に、古田さんの出番がすごく増えたらしい。

いまでも熱闘甲子園のメインキャスターを務める古田さんとばったり甲子園の球場内で会ったりするらしく、そんな時はいまでも親しく会話を交わされるとか。

いいですねえ。そういう先輩後輩の関係って。


ところで、野球の審判の世界はプロとアマで随分と考え方が異なるらしいが、アマチュア野球、とりわけ高校野球の世界ではプロ野球と比べると格段にストライクゾーンが広いと言われている。

宅間さん曰く、アマチュア野球の世界ではストライクはGood Ball、つまり打者から見ていい球=打てる球、という考え方。

逆にボールは、アンフェアボールと言って、打者が打つには酷であると判断されるボールを意味するとのこと。

言うまでもなくストライクゾーンの定義というのは野球という競技としては統一されているのだが、あくまでも考え方の話。

だから、高校野球では、際どい球の場合には迷ったら基本的にはストライクとコールするらしい。

つまり、バッターに対して「今の球は打てたでしょ。」というメッセージだそうだ。

もちろん、試合進行をスムースなものにする意味でも理にかなっているし。

ある甲子園の試合で宅間さんが球審を務めた時のこと。

打席には、優勝候補にも挙げられる強豪校のプロが注目する打者が。

ツーストライクを取られた後の外角高めのボールくさい投球を宅間さんはストライクコールし見逃し三振に。

「○○君、今の投球は際どいボール球と思って見逃したのかも知れないが、打てるボールだったはずだ。だからストライク。この球を打たずして勝ちはない。」

宅間さんのストライクコールには、こんなメッセージが込められていたと言う。

そして、その次の打席。

その打者は、前の打席で見逃し三振に倒れた外角高めのボール気味のストライクを逃さず見事に捕らえてバックスクリーンに運んだそうだ。

一打席一打席、いや、一球一球にテレビを見ているだけではわからない小さな、だけどとても大切なドラマが繰り広げられているんだと言うことを教えてくれた。

さて、今の話を人生に置き換えてみるとどうなるか。

色んなことに挑戦すること。それをやらないための言い訳ばかりを探して出来ていない、なんてことはないだろうか。。

見逃した球を「ストライク」とコールされ、「いやいや、それは無いでしょう。今のはボールでしょう。」なんて事を口にすることに慣れてしまっていないか。

夢に向かって歩みを止めない挑戦者にとっては、手にしたバットは振ってなんぼのものだ。

振らないと勝てない。

アウトになることを恐れていては何も生まれない。

だからまずは振ってみよう。

そんなことを教えられた一日でした。

宅間先輩、ありがとうございました。
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