加藤ヒロ 公式サイト

BLOG

2021.04.28

がんねムーンビーチ

広島の繁華街、薬研堀の小さなビルにあるスナック。

その店のママは僕の中学時代の同級生だ。

広島を訪れた際、食事の後にちょこっとだけ顔を出す。

もう3年くらい前のこと。たまたま、そのお店に居合わせた江田島市役所の人と話が弾んだ。

「江田島にもっと沢山の人に来てもらいたいんだけど、予算もなくて大変だよ。」

と、その人は話し始めた。

「がんねビーチという砂浜があるんだ。そこを復活させるプロジェクトが立ち上がるかもしれない。」

その人が言った「がんねビーチ」という響きが妙に耳に残った。

調べると、最北端の沖美町の岸根鼻の付け根あたりにあった海水浴場だったらしい。

はるか昔に「がんねムーンビーチ」という名で賑わった風光明媚なビーチだそうだ。

その名前を聞いて、僕はサンフランシスコ郊外にあるハーフムーンベイを思い浮かべた。

海を見下ろす高台に超高級ホテルが建ち、その周りを緑鮮やかな芝と白い砂のバンカーのコントラストが美しいゴルフ場、そして高級別荘が立ち並ぶリゾートだ。

もうずいぶん前だけど、サンフランシスコに出張した週末に一度だけ行った事があって、とても印象に残っている。

まさか江田島にそんな高級リゾートができるなんで想像もつかない。

がんねビーチの復活とは、一体どういう事なんだろう。

僕は、どうしてもがんねビーチをこの目で確かめたくなって、ホテルを飛び出し車を走らせた。

高速道路を経由して、呉に入る。

まだ、あどけなさが残る制服を着た水兵達が歩く街中を抜けると、海には軍艦のような大きな船や、黒い鉄の塊のような潜水艦が数隻浮いているのが見える。

まるで映画で見た世界だ。

倉橋島を走り、早瀬大橋を渡り能美島に上陸。海沿いの道をひたすら進んでいく。

ホテルを出て1時間半が経過した頃、ようやくがんねビーチの近くまでたどり着いた。

ところが、がんねビーチへと続くはずの狭い山道は、途中工事中になっている模様で立入禁止の看板が出てきた。

一体、具体的にどこががんねビーチなのかが、よそ者の僕の目ではよく分からない。

恐らく、突き出た小さな半島に所々見える砂浜が、かつてのがんねムーンビーチと呼ばれている場所だったのだろう。

もちろん海水浴シーズンでもないから人影は見えないのだが、夏になってもそこが賑わうような雰囲気は全く感じられない。

今はもう閉ざされた遊園地のようだ。

その近くに小さな山がある。

日露戦争開戦間近の明治時代、バリチック艦隊の入港を阻止する為に、榴弾砲などが設置された三高山だ。今では、砲台山と呼ぶらしい。

戦争が終わり、高度成長を迎えた昭和の時代。海水浴は、人々にとって最大の夏の娯楽の一つだったに違いない。

家族連れで訪れた子供達の笑い声、付き合い始めたばかりの若い恋人達、孫を見つめる祖父母の微笑ましい笑顔。。。

僕は、朽ち果てた榴弾砲の眼下に広がる美しい砂浜と、その揺れる陽炎の向こうに夏のバカンスを過ごす人々の様々な表情を思い浮かべてみた。

青い空とエメラルドグリーンの海、カラフルなパラソルに流行りの色取り取りの水着姿。

僕の脳裏で、それらの風景がやがてモノクロの景色へと変わっていく。

想像していたハーフムーンベイとは雰囲気が違うけども、海の美しさはそれに引けを取ることはない。

むしろ、この海の方が美しいと思った。

今ではきっと、誰も訪れなくなったがんねムーンビーチも、人びとがバカンスを過ごした時代よりももっともっと昔にあった美しい姿を取り戻しているのだろう。

いつの日か、がんねビーチが復活する日がきた時に、また訪れてみたい。

因みに写真は、がんねビーチの近くにある砂浜。そこで釣りを終えて帰ろうとしていた家族連れに聞いてみた。

「がんねビーチは、どこにあるんですか?」

「がんねビーチ??・・さあ、、、聞いたこともないっすね。」

復活への道のりは長そうだ。
2021.04.19

消えたイエローチャリマシン

待ちに待った映画撮影の日。

その日は朝から晴れ渡り、初夏を思わせるような青空が広がっていた。

11時半前に現地にて集合!との指示を受ける。

絶好のサイクリング日和の空。

目的地までもそう遠くもないし、僕はイエローの愛車「イエローサブマリン」ならぬ「イエローチャリマシン号」に跨がり颯爽とペダルを踏みこんだ。

自転車に乗っているとナビがついているわけじゃないから、初めて走る住宅街のクネクネ道を進んでも思っていた大通りに中々出ない。

見上げても目印になりそうな高い建物も見えてこない。

「おかしいな。。」と一旦停まってスマホで現在地をチェック。

ゲっ!東に向かっているつもりが、いつの間にか北に向かっていた。

そんなこんなで、思ったより時間がかかり11時半ギリギリに到着〜!

「ヒロさん、おはようございます!」

「ヒロさん、お久しぶりっす!」

僕を見つけた、いつもの仲間が出迎えてくれる。

「ヒロさん、今日は自転車なんですね!こっちに停めてください!」

撮影現場の建物の脇にある歴とした駐輪スペースに、イエローチャリマシン号を停めて鍵をかけ、急いで中に入る。

撮影は順調に進み、その日の予定は無事に終了。

それが大体15時ごろ。

プロデューサーの安藤さんと近場のカフェで打ち合わせをするために移動することに。

そこで、僕の買ったばかりのイエローチャリマシン号を安藤さんにも見せようと自転車置き場へ。。

ところが。。

「あれ?ない。。ここに停めておいたはずなのに。。」

まるで狐に摘まれたみたい。。

人間は、想定していない事実を突き付けられた瞬間、本能的に「そんなはずはない」と否定心が先に立ち、現実を受け入れるのに時間がかかる。

「ない。。。。もしかして、、盗まれた??」

まだ2月に買ったばかりだから、2ヶ月も経っていないのに😢😢😢

自転車移動で、ガソリン代は浮くわ、駐車場代は浮くわ、駐輪場から歩くから健康にはいいわ、何よりも走っていて気持ちいいわ、、と良いこと尽くしのはずだったのに。。

盗難届を出しても、きっと見つからないだろうな。

保険で買い直せると聞いてたけど、うっかりして利用者登録するの忘れてたし、、バッテリーの製造番号も現物がないから分からないし、仮に保険で買い直せたとしても定価の30%を払わらないといけないし。。

自転車は乗るな、ということか?

盗難届を受理してくれた交番にて。

年配の交番相談員のおじさん。

自転車を買ったお店でもらってきた車体番号とか盗難登録番号とか買いてある売上伝票のコピーをそのまま見せる。

「え〜と、、車体番号が●●で、防犯登録番号が●●、それで、、買った値段が●万●千円と。。」

「いや、●●万●千円です。」

「えーっ⁉︎・・●●万●千円⁉︎」と、見事なリアクション!

「電動アシスト付の自転車ですから。」

車から自転車に変えて目論んでいた経費削減作戦は、どうやら失敗に終わりそう。。

むしろ高くついたわ!

それにしても、世の中・・悪い人がおるもんじゃね。
^
TOP